「お疲れ様」と「ご苦労様」の違い、意味と使い分け

「お疲れ様」と「ご苦労様」の違い、意味と使い分け

ご苦労様」と「お疲れ様」、社会人になると使う機会も増えるのではないでしょうか。

ご苦労様とは、苦労や努力を労う意味です。目上の人が使う言葉です。お疲れ様とは、苦労を労う言葉です。苦労を労うという点では、同じです。注意が必要なのは、「ご苦労様」は目上の人が使う言葉だということです。

今回の記事では、「ご苦労様」と「お疲れ様」の正しい使い分けの方法を説明していきます。社会人としての最低限のマナーですので、一読しておくことをオススメします。

「ご苦労様」と「お疲れ様」の使い方

毎年新入社員が来る春には、必ずといっていいほど上司の使っている労いの言葉「ご苦労様」を目上、先輩、同僚、関係会社の担当者関係なく使う新人が出てきます。そういった新人でも先輩方の指導で半年すれば「ご苦労様」と言う言葉を使わなくなります。

ご苦労様とは、上司や先輩方はどのような場面で使っているでしょうか。

●書類作成や依頼されていた仕事を報告したとき、

 部下「確認お願いします」

 上司「ご苦労様。確認しておくよ。」

●外出先から戻った挨拶と報告を行った際、

 部下「ただいまもどりました。○○の件よい返事をいただけました」

 上司「ありがとう。ご苦労様」

●帰社する際、

 部下「お先に失礼させていただきます」

 上司「ご苦労様」

など多くの場面で労われています。

これを、上司「今日は、お先に失礼するよ。ご苦労様」、部下「部長、ご苦労様でした」と使ってしまうと、間違った使い方になってしまいます。「でした」とつけたところで「ご苦労様」が目上の人が目下の人への労いの意味があるため、丁寧に伝えたつもりでも見下す形に聞こえてしまいます。

お疲れ様であれば、上記のどの場面においても使用することができ、失礼にはあたりません。

「ご苦労様」=「挨拶」?!

これもよくあることですが、「ご苦労様」という表現が「会社組織の中で使われる挨拶」だと認識している世代もいらっしゃいます。

歳を重ねていらっしゃる方々が多い為、「ご苦労様」を使うことに違和感や、失礼だとは感じませんが、後輩が挨拶として「お疲れ様です」と使うと、陰で「疲れてないのにね。嫌味かしら。」と嫌味を言われてしまうこともあります。(実際、陰で言われたことも、電話越しに言われたことも、直接言われたこともあります。)そういう人には心の中で「疲れているかいないかではなく、労いなのにな。」と意図を汲み取ってもらえずモヤモヤしたこともありました。

そういった場合は同じ社内、親交がある人に限り「おはようございます。よい天気ですね。」「こんにちは。今日は生憎の雨ですね。」とその時間帯にあった挨拶とお天気や気温のネタを挟んでから本題に移るようにしています。挨拶ですので、本題ではなくそれだけで終わることもあります。すれ違いざまに「こんにちは、今日は暑いですね」と挨拶をして立ち去るといった具合です。

そういった方以外は、すれ違いざまに「お疲れ様です」と、言葉軽い会釈をすることでその場を離れています。

外出していた同僚が戻った際には、「お疲れ様です」と一声かけたり、業者の方々や配送の方々にも「お疲れ様です」と労いの言葉を伝えています。そこから始まる会話もあれば、雰囲気が緩和しよい方向へ話が進む場合もあります。

社内メール

社内メールの始めの文章も「お疲れ様です」と一言添えてから、本題へと移るようにしています。

また、社内メールではアドレスを知っているのだからと氏名を記載しないこともありますが、見間違えもありますので必ず氏名を添えることにしています。(過去何度も同姓同名の方のメールを勘違いしてしまい、その後しばらくいたたまれない気持ちで過ごすことになった経験があります。「氏名」が添えてあれば間違えなかったのに!と自身で感じたため、それ以降は添えることにしています)

仲間内

同僚や気の置けない仲間内では、「お疲れ」と「様」を省略して使うこともあります。

待ち合わせで会った時も「お疲れ~」から会話が始まり、終わりも「お疲れ~」といってそれぞれ場所に帰っていきます。

ビジネス上での「ご苦労様」

先ほど「お疲れ様」に対して「疲れていないのに」と嫌味と捉える人がいると書きましたが、「ご苦労様」を「苦労などしていません」と憤慨する新人もいるです。

なぜ怒っているの私には理解できませんでしたが、本人に話を聞くと「苦労もしていないのに「ご苦労様」といわれ、自分の能力を認めてもらえていない」と感じたと話してくれました。

新人にしてみれば「認めてもらいたい」、「自分はもっと大きなことを任されてもやり遂げる自身がある」というアピールの場のつもりでしたので「評価されない」という思いが強く怒りがこみ上げてしまったです。

その後、ビジネス上での「ご苦労様」は、労いの意味があり、目上の人が目下の人へ使う言葉だということを新人に説明しました。意味を捉え違えていただけですので、肩身を狭そうにしていましたが、それ以降そういったことで憤慨することはありませんでした。

使う人の心遣いが大切!

年下の上司の場合、年上の部下に「ご苦労様」と使うのは、人生の先輩に使うには失礼だと感じる人もいるのではないでしょうか。仕事を円滑に進めるためには、上司としての威厳も必要です。

けれど、対処はしなくてはいけません。「ご苦労様」か「お疲れ様」か、悩むところではありますが、ある年下上司は、「ありがとうございます。」と年下の上司が、年上の部下に伝えたのです。労いではなく「感謝」を伝えたのです。何かをしてもらったら「ありがとう」と感謝を伝え、挨拶としては「お疲れ様です」と使い分けていたのです。部下であるという以前に、人生の先輩であることを優先した形になりました。

客先では、もちろん上司として対応しますが、普段の年下上司は、年上部下に心遣いをみせ、年上部下はそれを当たり前と思わず年下部下を立ててくれるようになり、よりスムーズに業務を進めることが出来るようになりました。

失敗した例としては、年下上司が年上の部下の皆様に向かって「私が部長です。私の指示に従い動いてください。以上。ご苦労さん」と言って会議を終えました。

会社組織しての立場は十分すぎるほど理解していますが、年上に対する配慮がなかったと気分を損ねてしまい、その他としばらく関係を修復することができませんでした。

ご苦労様」、「お疲れ様」も使う人の心遣いによって関係を悪化させたり、改善したりする言葉なのです。

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